ZINE コラム

【コラム】世界はまだまだ手仕事で溢れている

Seiji Horiguchi

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【コラム】世界はまだまだ手仕事で溢れている

Seiji Horiguchi

はじめまして。草ノ根のSeijiです。

草ノ根は2020年に発足し、マスメディアや大手メディアでは触れられにくい、自分たちの周りの人々(≒民衆)の声や感情を届けることを目的として、ZINE(vol.1・2)の発刊を行なってきました。メディアの性格的に、基本的には紙媒体(ZINE)に軸足を置いてはいるのですが、そこに詰めきれなかった情報や熱量を無駄にしないため、オンラインからも発信を行うことにしました。

あなたが今読んでくださっているのは、そんな「草ノ根WEB MAGAZINE」の記念すべき最初の記事です。自己紹介も含めもう少しセイハローしたいところですが、せっかくなので「手もとと道具」という特集で作成した『草ノ根 ZINE vol.2』の冒頭コラムを引用することで、僕らがどんなことを発信しているか(したいか)を知っていただきましょう。

「世界はまだまだ手仕事であふれている」

長野県松本市に住んでいた大学時代の主な交通手段は自転車。乗り方が荒かったこともあって最後の方は多くの不具合を抱えていた。新調する金もないので、パンクした時なんかは近所の自転車屋によく駆け込んでいた。そこは80歳前後と見えるおばあさんが一人で切り盛りしているのだが、このおばあさんがとにかく腕が良かった。というか手際が良いのだ。
「ちょっとパンクしてしまって...」と僕が伝えると、すぐさま自転車をスタンドに立てるおばあさん。ここからが早い。タイヤの内側のチューブを取り出して、水を張ったたらいに突っ込んで穴が空いている場所を探し当て、見つけた穴に補強シールを貼り付け、ドライヤーで熱風を当てて乾かし、再びタイヤの内側に詰め込み、電動の空気入れを使って再びタイヤに空気を詰める。その間およそ5分ほどだろうか。一つひとつの作業が洗練されていて力強く、ずっと眺めていたくなる(恍惚と言ってしまっていいかもしれない)。必要な道具やパーツが全ておばあさんの身の回りに整頓して配置してあるから作業効率も良い(作業中、強烈に鈍った松本弁で喋りかけてくれるのだが、僕は一切聞き取れないので、ただニコニコしていた) 。そんな長年のキャリアが生んだ修理術にずいぶん世話になり、同時にそのプロセスに魅了された。
あらゆる分野で自動化・機械化が進み、餃子でさえ無人販売所で買える時代。しかしまだまだ世の中には人の手でしか成し得ないことも多く残されているのではないだろうか(少なくともAIによるパンク修理サービスはまだ聞いたことがない)。
今回のZINEのテーマは「手もとと道具」。様々なシチュエーションの手元や、アーティストの仕事道具にフォーカスしながらZINEを作りなかで気づいたのは「世の中はまだまだ多くの手仕事であふれている」ということ。そしてもちろんこのZINEも例外ではない。手を貸してくださった多くの方々に厚く御礼を申し上げる。


以上。

コラムで書いている通り、取材対象のアーティストや職人だけではなく、ZINE作りに「手」を貸してくださったカメラマンやスタイリストもまたその道の専門家。学生時代から手もとフェチだった僕にとって、彼らの作業ルーティンもまた心躍らされるものだったのです。残念ながらそんな彼らを収めた写真は残っていないのですが、ZINEに掲載した写真を一部紹介しましょう。

『草ノ根ZINEvol.2』「三者三様の手しごとノート」より  (photo : Wataru / beatmaker : Yotaro)

『草ノ根ZINEvol.2』「三者三様の手しごとノート」より (photo : mdex9 / nailist : naillmatic)

『草ノ根ZINEvol.2』「三者三様の手しごとノート」より (photo : mdex9 / Barista : Satoshi)

『草ノ根ZINEvol.2』「草ノ根ポートレート」より (photo : 木村華子 / styling : THE BEST SHOP / model : Saori)


ちなみにZINE vol.2はまだ在庫があり、オンラインストアで購入可能です。

草ノ根online store🌿

最終的にZINEの宣伝になってしまいましたが、草ノ根WEB MAGAZINEはまだ始まったばかりなので、僕も編集の"手"を休めず発信を続けたいと思います。

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Seiji Horiguchi

大阪在住のライター。信州大学人文学部卒。新聞記者を志す学生時代を経て、現在はダンススタジオのマネジメントに携わりながら、フリーランスのライター/編集者として、関西のストリートカルチャー中心にアーティストインタビュー・ライブレポ・ライナーノートなどの執筆を行う。 2020年には、ストリート界隈の声や感情を届けるメディア「草ノ根」を立ち上げ、ZINEの制作を行う。2022年からは、ウェブメディア「GOOD ERROR MAGAZINE」にもライターとして所属。好きなラジオは『ハライチのターン』『コテンラジオ』『問わず語りの神田伯山』。

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